最近太ってきました、NaCです。
スーパーで鮮魚コーナーを見ていると、
魚のアラがよく安く売っているので、
つい買いこんでしまい、
アラ炊きを作ってしまいます。
結果食べ過ぎるという。。。
今回は、
水温概算関数の導出についてです。
かなり久しぶりに理系っぽくなっています笑
前回、
早見表のような何かを記事にして終わりましたが、
今回はその求め方です。
かなり理屈っぽい内容ですので、
軽く読み飛ばす程度でいいかと思います。
まずは基本的な考え方から。
水などの物質の温度上昇について考える時、
「比熱」または「熱容量」という概念を用います。
比熱とは記号 \(c\) で示されることの多く、
物質 1 g の温度を 1°C 上昇させるときに必要なエネルギー量で 単位はJ / g・K で表されます。(※1)
熱容量とは比熱に質量をかけた数値で、記号は \(C\) で表されることが多いです。
ある物質の温度を1°C 上昇させるのに必要なエネルギー量を表し、単位はJ / K で表されます。
水の場合、
比熱 \(c\) は、4.218 J / g・K なので、
1 g の水の温度を 1 K (= 1 °C) 上昇させるのに、
4.218 J 必要だということになります。
水に対してお湯を加えた場合、
お湯のもっているエネルギーが水に加わることによって温度が上昇すると考えます。
以上が基本的な考え方です。
※補足1
K はケルビンと読んで絶対温度の単位。
273 K = 0 °C
で、
絶対温度が1 K変化すると、
セルシウス温度の1 °C変化する。
単純に考えて、
セルシウス温度 (°C) + 273 = 絶対温度 (K)
となります。
○ 数値の定義と考え方
実際に求める前に数値の定義と考え方を。
温度 \(t_{1}\) (°C)、体積 \(v_{1}\) (L) の水\(_{1}\)と
温度 \(t_{2}\) (°C)、体積 \(v_{2}\) (L) の水\(_{2}\)を
混合する場合を考えます。
水の比熱を \(c\) (J / g・K)、
水は1 mL = 1 g で換算します。
その場合、
水\(_{1}\)と水\(_{2}\)のエネルギー量 \(Q_{1}\) (J)、\(Q_{2}\) (J) は
\(Q_{1}=c \times (t_{1}+273) \times v_{1} \times 1000\)
\(Q_{2}=c \times (t_{2}+273) \times v_{2} \times 1000\)
となります。 (※2)
温度 \(t\) (°C) に "273" を足しているのは、
単位を °C から K に変換するため。
体積 \(v\) (L) に "1000" をかけているのは、
単位を L から mL = g に変換するためです。
水\(_{1}\)と水\(_{2}\)を混合したとき、
温度が何度になるかを考えます。
これは、
頭だけで考えると間違えやすいので、
図に書いて考えてみます。
こういう考え方を面積図といいます。
長方形の横の長さを体積、
縦の長さを (比熱×温度) とすると、
長方形の面積が水のもっているエネルギーになります。
図1 面積図での考え方 その1
または、
図2 面積図での考え方 その2
どちらの考え方でも同じ答えが得られますが、
図1のほうが計算が楽なので、
図1の考え方に基づいて解いていきます。
時間があって、暇で暇でしょうがない人は、
図2で解いてみてもいいかもしれません。
※補足2
物理化学的に精密に議論する場合、
物質が持っているエネルギーは内部エネルギーUによって定義されます。
\(\varDelta U=Q-W\)
この場合、
Q は物質に加えられた熱エネルギーを、
W は物質がした「仕事」を表します。
この物理学における「仕事」という概念がまたややこしいのですが、
簡潔にいうと、
物体が動いたりしてエネルギー消費した場合、
その物体は「仕事をした」といいます。
例えば、
半分くらいピストンを押し込んだ空の注射器を温めると、
空気の膨張によってピストンが押し出されます。
この場合、
注射器の中の空気はピストンを押すという「仕事」をしたと考えます。
物体に熱エネルギー等を与えた場合のエネルギー増加量は、
この仕事を加味しないといけないので、
(仕事をした分、エネルギーが減るため)
内部エネルギーという概念を導入し、
\(\varDelta U=Q-W\)
式が示す通り、
加えた熱エネルギー量から仕事分を引いたものをエネルギーの増加量としています。
今回の場合、
お湯を加えることによって水の体積はほとんど膨張しないので、
仕事は無視できるほど小さいとみなし、
\(W = 0\)
と近似しています。
そのため、
加えた熱エネルギー量と内部エネルギー増加量が等しいとしています。
○ 水温概算関数の導出
長くなってきましたがが最後まで行きます。
それでは、
水\(_{1}\)と水\(_{2}\)を混ぜ合わせたあとの水について、
水温 \(T\) (°C)、体積 \(V\) (L) とすると、
図1の考え方から、
\begin{align} c \times T&=\frac{\{c \times (t_{1}+273)-c \times (t_{2}+273)\} \times v_{1} \times 1000}{v_{1}\times 1000+v_{2}\times 1000}+c \times t_{2} \\ &=\frac{ct_{1}v_{1}-ct_{2}v_{2}}{v_{1}+v_{2}}+ct_{2} \\ &=\frac{ct_{1}v_{1}-ct_{2}v_{1}+ct_{2}v_{1}+ct_{2}v_{2}}{v_{1}+v_{2}}\\ &=\frac{ct_{1}v_{1}+ct_{2}v_{2}}{v_{1}+v_{2}} \end{align}
両辺、\(c\) で割ると、
\[
T=\frac{t_{1}v_{1}+t_{2}v_{2}}{v_{1}+v_{2}}
\]
(1)
さて、
ここで、変数について確認しておきます。
今回の目的は、
水を「何°C」に合わせるためには、
お湯を「何 L」入れればいいのかを知りたいので、
水 \(_{1}\) をお湯とすると、
今回の関数の変数は、\(T\) と \(v_{1}\) となります。
ここで、
\(V = v_{1}+v_{2}\)
より、
\(v_{2}=V-v_{1}\)
(1) 式から \(v_{2}\) を消去すると、
\[ T=\frac{t_{1}v_{1}+t_{2}(V-v_{1})}{V}
\]
これを\(v_{1}\) について解くと、
\begin{align}
TV &=t_{1}v_{1}+t_{2}V-t_{2}v_{1} \\
(t_{1}-t_{2})v_{1} &=TV-t_{2}V
\end{align}
\[ v_{1}=\frac{V}{t_{1}-t_{2}}T-\frac{t_{2}V}{t_{1}-t_{2}} \]
\[ v_{1}=\frac{V}{t_{1}-t_{2}}T-\frac{t_{2}V}{t_{1}-t_{2}} \]
(2)
すなわち、
x軸を\(T\) 、y軸を\(v_{1}\) とした場合、
傾きが\(\frac{V}{t_{1}-t_{2}}\)、y切片が\(\frac{t_{2}V}{t_{1}-t_{2}}\)の一次関数になります。
(2) 式だけみると結構複雑にみえますね。
水温4°C、20 L 作製する場合をグラフにしてみました。
水温概算関数 (4°C、20 L作製時)
Googleドライブで作ったのですが、
うまく貼り付けられなかったので画像で。
以上、
長くなりましたが理論編でした。
ご自分の水槽でも (2) 式に当てはめれば、
自分専用の値を知ることができます。
ご自分の水槽でも (2) 式に当てはめれば、
自分専用の値を知ることができます。
何か質問や間違いがあればご指摘お願いします。
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※本日の蛇足※
HTMLに数式を表示させるには、
MathJaxを使用します。
オープンソースで比較的簡単に使用できますので、
興味がある人はいじってみると楽しいですよ。
1 件のコメント:
スマホで閲覧する場合、数式が表示されないようですね。
申し訳ありませんが、Na.Cの知識では現時点で対応できませんので、
スマホユーザーの方でどうしても数式が気になる人は、パソコンでの閲覧をお願いしますm(__)m
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